「懐紙の折り方」について
このブログで懐紙の使い方を紹介するようになって、7年ほどになります。
そのころから見ると、日常的に懐紙を使う人はずいぶん増えてきた実感があります。
嬉しいことです。
最初のころに基本的な使い方を紹介していましたが、
同じことを何度も書くのは気が引けるので、あえて書かないようにしていました。
でも先日、お客様から質問を受けたので、改めて紹介することにします。
懐紙の折り方についてです。
懐紙は、二つ折りにして使われることが多いと思いますが、
その際、少しずらして折る場合があります。
一般的に、折り方にはちょっとしたきまりがあります。
これが「吉」と言われる折り方
これは「凶」とされる折り方
これは、折形の本などにも載っていますので、知っている方も多いと思います。
なぜこうなったのか、いろいろと調べてはいますが、いまだに「これだ!」という理由はありません。
ただ、「これが吉、反対は凶」と書かれているだけです。
ひとつだけそれらしい理由が書かれている本をご紹介します。
『自分がいつも南面していれば、吉と陽の太陽は自分にとって左の天から出てきます。左の天は太陽です。白い太陽を貴ぶ日本人は、左の天に向かう線を「吉」として貴びます。』 「贈る心を形にかえて― 日本の折形」 山根章弘 著
つまりこういうことです。
吉の折り方は、広げると右から左に向かって上がっていくように、折り目が付いています。
凶とされる折り方を開くと、ラインが左から右上に向かって伸びています。
わかりやすく言うと、太陽の上る左を貴ぶことから線を引くときは左が上に来るべき・・・ということになります。
ですが、ご来店になったお客様の先生は吉の折り方を見て、
「右肩下がりは縁起が悪い」
とおっしゃったそうです。
たしかに、そういわれるとそのようにも思えます。
ただし、右肩上がりという考え方は、グラフの線の伸びから来ているようなので、
昔からあった考え方とは言えない気がしますが。
とは言え、ご紹介した吉・凶の折り方は、一般的にそう言われているというだけで、
はっきりした理由はわかりません。
山根さんの説明も、納得、とまではいかないのが本当の気持ちです。
吉・凶の折り方は、一応慣習としてご紹介させてもらうことにしています。
ですが、それ以外のやり方を否定する気持ちもありません。
お寺や地域などでも違うことがあると聞いています。
その場合は、それぞれのやり方にならえばいいのです。
「右肩下がりは縁起が悪いから私はこう使う」・・・
それでもかまわないような気がしますが、いかがでしょう。
辻徳では、お茶席だけでなく、普段から懐紙をおしゃれに使う方法をご提案しています。
普段使いできるポップな柄や古典をモチーフにしたものなど、多数取り揃えております。
また、懐紙のオーダーメイドも承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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